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2007年12月31日

旧年の御挨拶

さて、皆様、2007年も終わります。

皆さまには大変お世話になりました。

お世話にはなってないけれど、お世話になりました。

色々ありました。

お疲れ様でした。

来年も頑張ります。

って書くと頑張らないといけないので。

書きませんが。

頑張るとは約束しませんが。

日記って頑張って書くものじゃないので。

頑張りませんが。

気まぐれでいきますが。

のんびり行きますが。

こんな駄ブログを見に来てくれて。

ありがとうございました。

宝くじは外れました。

全て外れました。

希望は全て断たれました。

来年やっていけるか心配です。

年の暮れなので本日は日常を綴ったりはしませんので。

それは来年からですので、楽しみにして下さった方。

いたら、ごめんなさい。

いなかったら、ごめんなさい。

明日も仕事ですので、更新できるか怪しいんですけど。

多分できないんですけれど。

急な勤務変更で、明日以降の勤務が一切わからないので。

2日の勤務すらわからないので。

何がどうなるのか予測もできません。

未来は暗雲で満ちています。

いい年になりそうです。

2008年はいい年になりそうです。






ではでは皆様。


2008年にお会いしましょう。


よいお年を。
posted by 水卿 at 20:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月16日

アリとキリギリスとセミとバッタとカマドウマとetc 後編

ここはキリギリスさんの住処。

床には数え切れないほどの酒瓶が転がっています。

キリギリスさんはグラスを掴んだまま眠っていました。

若草色に輝いていた翅は変色して赤茶けてしまい、ところどころが破れています。

カマドウマは毛布を持ってくると、キリギリスさんに被せようとしました。

しかし、その際にキリギリスさんは目を覚ましてしまいました。


「ごめんなさい、起きちゃいましたか」


「‥‥‥カマドウマか」


キリギリスさんは、軽く首を振って起き上がりました。

カマドウマは何も云わず、毛布を再び仕舞いに戻ろうとします。

その時、キリギリスが声をかけました。


「…いつまで、ここにいるつもりだ?」


その声は落ち着いていて、出て行って欲しいというよりは、出て行かないことを不思議がっているように聞こえました。


「出て行けと言われるまでは、ここにいるつもりです」


カマドウマは笑いかけるように答えます。

キリギリスさんは何も言いません。

ただ「そうか」と呟いて、持ったグラスを見つめていました。


と、その時。


「キリギリスはいるかぁ!」


大声と共にバッタさんが飛び込んできました。

普通、喚きながら飛び込んでくる奴はいません。

突然のことにキリギリスさんは言葉もありませんでしたが。

入ってきたのがバッタさんだと分かると、気まずそうに顔を逸らします。


「バ…バッタか、今更何の用だ…」


「なんだじゃねぇだろ、馬鹿野郎!」


逆ギレです。

呆然とするキリギリスさんでしたが、バッタさんはお構いなしに続けます。


「どっちにするか決めろ、お前が決めろ!」


「な…何をだよ…」


「何でもいいだろう!」


「よくねぇだろ」


「当たり前だ!!」


もうどうしてくれよう、このクソ虫って気持ちで。

キリギリスさんもタジタジとしていたわけなのですが。


「落ち着いてください、バッタさん」


カマドウマが間に割って入りました。


「カマドウマ、一応お前にも聞く」


「え?」


「どっちだ?」


「何が…です?」


「コンサート」



「「 コンサァトォォ!!? 」」



二人の叫びが重なります。


「そうだ、セミの容態が良くない、最後にみんなであの曲を演奏する、それがあいつの望みだ! やるのか、やらねぇのか、どっちだ!? 何度も言ってるだろうが!!」


初耳ですが、ようやく話の内容が見えてきたキリギリスさん。

セミさんの容態が良くないと聞き、その表情が険しくなります。


「どういうことだ、詳しく話せ」


「セミが死にそうだ」


「うん」


「最後にあの曲を歌いたいらしい」


「うん」


「終わり」


「早っ!」


バッタさんはなおも続けます。


「ここで立たねぇなら、もう知らん。てめぇがその程度の奴だったってことさ。俺とセミだけでやる」


「‥‥‥‥‥」


「どうする、やるのか、やらねぇのか!?」


「俺は‥‥‥」


キリギリスさんは迷いました。

そもそも音楽を続けたいといっていたのはキリギリスさんで、辞めるといったのはバッタさん達の方です。

何か逆のような気がして腑に落ちないのですが、まあ話がややこしくなるだけなので飲み込みました。

と、その時。

キリギリスさんへ大きな塊が放り投げられました。

黒いギターケース。

カマドウマが投げたものでした。


「この日が来ることを信じて、毎日欠かさず手入れをしていました。いつでも演奏可能ですよ」


「カマドウマ…」


キリギリスさんは、ギターを手に取りバッタさんへと向き直りました。



「やるぜ、最高の音楽を聞かせてやる!」







心優しいアリさんが空き地へ辿り着いたとき。

周囲には沢山の虫たちが集まっていました。

コオロギさん、ダンゴムシさん、クツワムシさん、その他色々な虫の群れ。

みんな一列に並んで何かを待っているようです。

アリさんは不思議に思って聞きました。


「みなさん、どうしたのですか?」


コオロギさんが答えました。


「これから、キリギリスさん達のコンサートがあるんだよ」


アリさんは驚きました。

この段階にあってまだ歌っているのか、あの人たちはと。

呆れたような感情がこみ上げてきます。

もうすぐ冬です。

食料を集めるわけでもなく、気楽にコンサートとは何事か。

こっちはパーティーを抜け出してまで来てやったのに。

と、かなり手前勝手な怒りに震えていました。


しばらくして、積み上げた石の上にキリギリスさん達が現れました。

バッタに肩を貸してもらいながらセミもいました。

一応カマドウマもいます。


「みんな、待たせたな!」


キリギリスの大声と共に歓声が上がります。


「いっくぜぇ! 最後のコンサートをよ!」


ワァァアァアアア!!



透き通った秋空の下。

虫たちの歌声は響き渡ります。

最初は少なかった観客も。

歌声に誘われて、一匹、また一匹と増えていきます。

どれも冬を越せない一夏限りの生しか持たない虫達の生き残りでした。

彼らは、キリギリスさん達の演奏の向こうに何かを見ているようでした。

何を見ているのでしょう。

何を思ったのでしょう。

今にも倒れそうなセミさんが。

バッタさんに支えられながらも、歌い続ける理由は何でしょう?

それは虫達にしか分からないことです。


気付けば、空き地は虫で埋め尽くされていました。

天敵であるはずの蜘蛛やカマキリまで、その歌に聞き入っています。


アリさんは小石に腰をかけて流れる歌を聴いていました。

アリさんは巣穴で冬を越すことが出来ます。

それゆえに。

彼は、この虫達の輪に入れないのです。

それは少し寂しいような気分にさえさせます。

それでもアリさんは覚えようとします。

耳に残そうとします。

以前はうるさいとさえ思えたその歌を。

ここにいる虫達は冬を越せない。

だから、この歌を残せるのは冬を越せるアリさんしかいないのです。


その時、アリさんの前に意外な虫物が現れました。


「…相変わらず下手くそな歌だね」


「進歩ってものが見られないよ」


アリさんの仲間たちです。

パーティーに参加していたはずのアリさんの仲間達が集まっていました。


「え、みんな…どうして」


彼らはお互いに顔を見合わせてバツが悪そうに笑います。


「キミが心配でね、探しにきたんだ。そしたら…」


そういって、キリギリスさん達の方を向きました。


「下手くそだけど…一生懸命なんだね、あいつらも」


「うん、それに観客も楽しそうだよ」


「なんでだろうな…あいつらを羨ましいって思えてしまうのは」


心優しいアリさんは、キリギリスさんが以前自分に向かって言った言葉を思い出しました。

「キリギリスさんは言ってたよ、未来は今の延長なんだって」


「え?」


「だから、今を一生懸命に生きるんだって。僕らにはそれが足りなかったのかもしれない」


「今を生きる…か」


もう誰も口を挟みません。

ただ黙って彼らの演奏に耳を傾けます。





空は高く。


声はどこまでも続いておりました。









時は流れ、季節は冬。


賑やかだった空き地も今は雪が積もるだけ。


物音一つしないそこに生き物の気配はありません。


虫達はみんないなくなってしまったのでしょうか?


いいえ、そうではありません。


土の下では彼らの子供達が春の訪れを待っているのです。


夏がくれば、再び歌声が響くことでしょう。


一夏限りの命の歌を。









をわり。
posted by 水卿 at 21:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月13日

アリとキリギリスとセミとバッタとカマドウマとetc 中編

「くそったれが!」


あれから数週間が経ちました。

キリギリスさんは他のメンバー達と仲違いをし。

酒に溺れる毎日を過ごしていました。


「くそったれが…!」


もう一度呟き、グラスを一気に呷ります。

空になったグラスを乱暴に叩きつけると、再びバーボンを注ごうとします。

しかし、瓶にお酒は一滴も残っていません。


「カマドウマ!」


「はい…」


「酒を買って来い!」


「もう、やめておいた方が‥‥」


「うるせぇ! 黙って買って来い!」


荒々しくテーブルを叩いてキリギリスさんが怒鳴ります。

カマドウマはため息をついて出て行きました。


「‥‥‥‥‥‥‥」


キリギリスさんは、一人きりになると、黒いギターケースにチラリと視線をやりました。

セミさん達と別れてからは一度もギターは触っていません。

ギターケースを手に取り、それを開きます。

中に入っているのは愛用のギター。

そして、古ぼけた写真。

黄ばんでしまったそれは、バンド結成時にメンバーで撮ったものでした。

写真の向こう側では、セミさんやバッタさんと肩を組んで笑いあうキリギリスさんの姿。

それを握り締めてキリギリスさんはテーブルに突っ伏しました。

嗚咽が部屋の中に響きます。


「夢を追いかけるより、現実を見ろってことかよ…」


山々は美しい紅葉で彩られ。

開け放たれた窓からは涼しい風が流れてきます。


季節は秋へと移っていました。







枯葉を束ねたベッドの上にセミさんはいました。

その頬は痩せこけ、生気というものが感じられません。

傍には、甲斐甲斐しく世話をするバッタさんの姿がありました。


「俺も…これまでか」


「ばか、弱気になんじゃねえよ」


バッタさんはセミさんを励まします。

しかし、セミさんが、そう長くは無いというのは誰の目にも明らかでした。

それは本人も薄々と気付いているのでしょう。


「いや、聞いてくれ。最後の頼みだ」


「‥‥‥‥」


「俺は…音楽なんてやっていたら冬は越せないと言った」


「ああ…俺もな」


「だが、音楽なんて関係ない、どんなに食べ物があったって、俺たちは冬を越せるようにはできてないんだ」


「ああ…そうだな」


「誰も生き残れない‥‥俺もお前も、キリギリスもな」


「‥‥ああ」


「だから…もう一度…」


「‥‥‥‥」


「もう一度、あの曲を歌いたい…」


「‥‥セミ」


「ぐふっ!!」


セミは言い終わると激しくむせ込みました。

慌ててバッタが駆け寄ります。

セミさんを介抱するバッタさんの目には強い決意が浮かんでいました。


(待ってろセミ、俺が絶対、最高のステージを用意してやる!)







アリさんたちは夏の間に必死に働き。

たくさんの食べ物を手に入れていました。

これだけあれば冬を越すのに充分です。

暖かい土の下で、みんなでパーティーを開いていました。

人間の子が落としたキャラメル、キャンディー、ビスケット。

どれもご馳走ばかりです。

みんな、ワイワイと楽しく騒ぎながら飲んだり食べたりしています。

料理の中には、夏に遊んでいた昆虫の死骸も混じっていました。

それを見ていた一匹のアリが言いました。


「今頃…どうしてるかなぁ?」


「ん、どうした?」


隣にいたアリが不審そうに聞き返します。


「キリギリスさん達のことさ、困っているんじゃないかと思ってさ」


心優しいそのアリさんは、キリギリスさん達が困っているのではないかと思い、助けてあげようと思ったのです。


「ああ、あのゴロツキたちか? 放っておけばいいよ」

「そうそう、夏場に遊んでばっかりで働きもしなかった奴らだよ」

「飢えて、野垂れ死にすればいいのさ」


しかし、他のアリさん達の反応は冷淡なものでした。

それでも心優しいアリさんの決意は変わりません。


「確かにみんなのいう事はもっともだけど、僕は放っておけないよ」


みんなの制止を振り切り。

心優しいアリは、巣穴を飛び出しました。


キリギリスさん達と初めて出会った、あの空き地を目指して。







続く
posted by 水卿 at 20:40| Comment(3) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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