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2007年11月18日

補習と友情

高校へ入学したばかりの頃。

一つの出会いがありました。

それはどこにでもある、小さな小さな出会いでした。

しかし、この小さな出会いが、私に与えた影響は強く。

人生を左右したといっても過言ではありません。

今回は私と彼との出会いのお話。

いや、出会いの話とは違いますが、出会いがメインかもしれないお話。






彼とは同じクラスで、私の後ろに座っていました。

勉強よりも運動が得意なタイプで。

中学時代には陸上部に所属してたらしく。

そのくせ、持久走の時にぶっ倒れたりと素敵な男でした。

しかし、席は近くとも、話をする機会は全くなく。

お互い、同じ中学出身の仲間と群れて行動していたのです。

入学初期でしたからね。

そんなもんだったんです。

そんな関係だったんです。

名前も知らなかったし。




で。



中間試験の季節がやって参りまして。

遊んでばかりで勉強全然やってなくても。

情け容赦なくテストはやってきたんですが。

顔面蒼白で挑んだのですが。

一夜漬けで挑んだのですが。

世の中そんなに甘くなく。

立派な赤点をとって補習コース。






放課後。

空き教室で補習をするってんで。

文句垂れ流しながら向かったんです。

指定された教室へ向かったんです。

無視して帰りたかったけど、事態の悪化を恐れて向かったんです。

仕方なしに。

そしたら。

めっちゃ少ないの。

10人もいないの。

一年生だけでも数百人いるのに。

補習受ける生徒は10人未満。

恐ろしく少ない。

自分の成績がどれだけ酷いものかを、これ以上なく思い知らされました。

なんかもう最底辺。

駄目じゃん、コレ。

みたいな。


ため息つきながら席に座ると。

見知った顔がありました。

奴です。

同じクラスの後ろの席にいた彼です。

彼も補習を受けていたのです。

向こうもこちらに気付いたらしく。

ばつが悪そうに笑いました。



「お前もか」



「ああ」



これが、彼と最初に交わした言葉でした。





補習の後。

私と彼は中庭のベンチで空を見上げていました。

出身中学のこと。

高校での生活。

クラスメイトのこと。

色々と語り合いました。

話をするのは初めてなのに。

このときは不思議と。

自然に言葉が溢れてきたのです。

しかし。

補習について。

学業については何一つ話題に上りませんでした。

決して避けていたわけではありません。

語るまでも無くお互いの心中は一つだったからです。

何も語らずともお互い成すべき事を理解していたのです。

まともな会話をしたのは今日が初めてでしたが。

それほど短い時間であっても。

私達の心は通じ合うまでになっていました。

今まで一緒に騒いでいた仲間たちとは違う。

何か温かみを感じるのです。





強い陽射しが翳り始めた頃。



彼は何も言わずに立ち上がりました。



私もそれに続きます。



二人、向かい合うと、彼が私の方に手を伸ばします。




「俺は河村拓哉。よろしくな。」




私は、その手をしっかりと握り締めます。




「水卿です」













カンニング同盟が成立した瞬間でした。









彼の作戦はこうです。

お互い得意な分野の教科だけを正攻法で勉強します。

そして試験の時。

得意分野の者がトイレへ行く。

定められた個室トイレの壁に解答を書く。

次に苦手な者がトイレへ行き、その解答を見る。

後から見た者はすみやかに消し去り、証拠を残さない。

そういったシンプルなものでした。

あらかじめ公式や年表を書き込んでおこうという案も出されましたが。

見つかるリスクが高まるという理由で断念しました。




期末試験当日。




緊張でガチガチになりながらも実行。

先発は拓哉。

拓哉がトイレに発ちます。

時間との勝負でした。

なんせ、先発のものは一通り問題を解かなくてはいけません。

ゆえにその後トイレで解答を書こうとすれば、終了間近になってしまうは必至。

後発のものは大急ぎでトイレへ行き、全て暗記して戻ってこなければいけません。

拓哉が戻ってきたのは、テスト終了10分前。

急がねば。




「せ…先生。私もトイレへ行っていいですか!」





「あと10分だ、我慢しろ」






駄目でした。




そして補習コース。










ちなみに拓哉は今、ゴミ屋敷で暮らしています。


posted by 水卿 at 23:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 思い出 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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